
数年前から音楽業界の間で2016年問題が話題になっています。
音楽業界のおける2016年問題とは首都圏の主なライブ会場や劇場ホールが次々と閉鎖されてしまうという問題です。
これは経年劣化による建て替え工事や2020年に開催される東京オリンピックに向けた補強工事が重なってしまうことが原因です。
現在も次々と首都圏のライブ会場や劇場ホールが閉鎖されていますが、2016年にそれがピークを迎えてしまうということなのです。
実際にはここ10年ですでに累計で約25000席が失われているということです。
首都圏の大型ライブ会場として有名な横浜アリーナ、そしてさいたまスーパーアリーナも2016年は建て替えのため使用できないことが決まっています。
これにより、音楽業界だけでなく演劇や伝統芸能の上映場所が確保できなくなっています。
2016年問題が音楽業界に与える影響
現状、問題をクリアするにはどこよりも早くスケジュールを確立させ、場所を確保するしかないようで、会場の取り合いになっているとのことです。
すでに3年先まで予約が埋まっている会場もあるということです。
特に多くの集客を見込める人気アーティストなどにとっては大きな痛手でしょう。
さらに海外からの人気アーティストの来日ライブなども激減することでしょう。
ライブやコンサートが開催できなければ収益を見込めません。
年々、衰退しているといわれている音楽業界にとっては大問題です。
首都圏での大型ライブによる経済効果は非常に高いため、それが失われるということは日本にとっても痛手になります。
ファンはコンサートを見たい、しかしコンサートをする場所がない。
まさに悪循環でしかありません。
首都圏意外でライブをやればいいのではないかと思う方もいるかもしれませんが、地方でのライブやコンサートは首都圏ほどの集客や経済効果が見込めません。
さらに地方でのライブは多くのスタッフの移動や宿泊費用などが必要になるため、非常にコストがかかります。
そのため、首都圏でのライブの収益で運営できているというのが現状のようです。
よって首都圏でのライブが激減するということは地方でのライブはさらに減ってしまう恐れがあるのです。
表現の場がなくなるということは日本の伝統文化を衰退させてしまう可能性があります。
現在は各業界の代表が行政などと相談してスケジュールの調整やライブ会場として使える場所の拡大などを検討しているということです。
以上が2016年問題が音楽業界に与える大きな影響です。
2016年問題とは音楽業界だけの問題ではない
現在、2016年問題というと音楽業界だけに注目が集まっている傾向にありますが、それ以外も様々な2016年問題が懸念されています。
本来2016年問題とはそれら全ての問題を含め2016年問題と呼ばれているのです。
そのうちのいくつかを紹介していきます。
東京オフィスの2016年問題
そのうちのひとつに東京都心のオフィス問題があります。
2016年は首都圏に新築のオフィスビルが数多く完成することが予想されています。
それによりオフィスビスの供給が過去最大になるといわれています。
これにより競争が起こり、当初から建設されているオフィスビルは大幅に収益が激減されることが予想されます。
福島の2016年問題
もうひとつは福島の2016年問題です。
2011年の東日本大震災の際の津波の影響によりおこった福島原発事故ですが、2016年に放射能による影響が爆発的に増加すると予想されています。
福島県では原発事故の当時18歳以下だった子どもに対して甲状腺がんの診断をおこなっています。
多くの子どもたちが悪性の疑いがあると診断されており、50人以上の子どもに甲状腺がんが見つかっています。
放射能の影響は人体以外にも及ぶといわれており、かなり深刻な問題として取り上げられています。
システムの2016年問題
2016年はマイナンバーの導入や、日本郵政の大型システムの導入が控えています。
それにより、野村総研などの大手のシステム会社には案件が一気に押し寄せられることが予想されています。
しかし現状システム会社は人材不足に悩まされているため、需要をさばききれない可能性が示唆されています。
トヨタ自動車の2016年問題
2016年はトヨタ自動車のもつ特許群が切れ始めます。
具体的にはハイブリット車に使用されていた技術の特許群です。
特許群が切れれば他社が一気にハイブリット車の主導権を奪いにくることになります。
トヨタの動きに注目が集まっている問題です。
就活の2016年問題
2016年卒業予定の大学3年生から、就活のスケジュールが大幅に変わろうとしています。
就職活動の解禁が大学3年生の3月からになり、採用選考の開始は大学4年生の8月に変更になりました。
これは学業に専念してほしいという国の要望ですが、多くの学生からは反対の声があがっています。
企業側も採用期間が短くなったり、採用日程が重なることが増えてくるため採用しにくい状況になると予想されています。
2016年問題は意外と深刻
実際、毎年多くの問題が起きているのですが、2016年は特に注目すべき多くの問題が浮き彫りになっているように思います。
特に原発やシステムの問題は他人ごとではありません。
学生にとっても就活スケジュールの変更は、衝撃的だったに違いありません。
直接的ではないかもしれませんが、どの問題も私たちの生活に何らかの形で関わってくる問題です。
このような問題が起きているということを理解しておくことも非常に大切だと思います。
国は問題解決の糸口を探すためにもこのような問題が起きていることを今以上に周知していく必要があるのではないかと思います。